就活生へ!金融危機を乗り越えよ!
これからは、実体経済がかなり厳しい事になると想定できます。
とくに気を付けなければならないのは、今回の新型コロナウイルスが金融危機の引き金を引くというシナリオです。
リーマン・ショックなど過去の金融危機は、金融面におけるショックが実体経済へと波及しました。
しかし、今回は、パンデミックがまず世界経済の実体面にショックを与え、それが金融面に波及して金融危機を引き起こし、その金融危機がさらに実体経済にショックを上乗せで与えるという、さらに悪質な経路となります。
なぜ、金融危機を懸念しなければならないのか?
それは、過去数年間で、中国など主要国を含むいくつかの国や地域で、金融危機の予兆があったからです。
リチャード・ヴェイグは、過去の金融危機の例を分析し、対GDP比民間債務が5年間で18%程度増加し、150%を超えると金融危機が起きるという仮説を立てている。
例えば、2008年のリーマン・ショックでは、2002年から5年間で対GDP(国内総生産)比の民間債務が20%増え、170%に達しました。日本のバブル崩壊では、1985年から5年間で対GDP比民間債務は28%増え、213%に達した。
ほかの金融危機の例でも同様の傾向がみられるという事です。
ただし、ここで問題になるのは、民間債務です。自国通貨建ての政府債務は、関係ないです。なぜなら、自国通貨建て政府債務は、デフォルトすることがありえないからです。
さて、現在、対GDP比民間債務が、①5年間で18%程度増加し、②150%を超える国は、どこか?
①②の両方に該当するのは、香港、カナダ、中国、フランスです。シンガポールも、その数字に近いです。
なお、アメリカと日本は、②のみ該当します。
これらの国や地域、とりわけ香港、カナダ、中国、フランス、シンガポールでは、バブルが発生していた可能性が高いわけです。
民間債務比率が高まった経済は、ショックに対して非常に脆弱です。
例えば、100万円の投資では、株価が10%上昇すると、10万円の利益が得られます。
もし投資家が、500万円の借金をして手元資金を600万円に膨らませるというレバレッジをかけると、株価の10%の上昇は、60万円の利益をもたらす計算となります。したがって、もし、株価が10%上昇する可能性が高いのであれば、500万円の借金をして投資をする「レバレッジ」は、確かに経済合理的な判断です。
しかし、もし実際の株価が10%下落したとしたら、どうなるか?
レバレッジをかけていた投資家は60万円の損失を被ることになります。さらに500万円の借金をしていたので、その利息分も含めると、手元に残るのは40万円以下です。
このため、この投資家は、手元資金を確保する必要に迫られて、保有していた資産を売り始める事が想像できます。
もし、多くの投資家がレバレッジをかけていた場合、デレバレッジが市場全体で一斉に始まることになります。その結果、資産価格は暴落し、金融市場はパニックに陥ります。
金融市場にパニックが広がると、多くの投資家がファンドから資金を引き揚げようとし、ファンドは資金を返却するために株式を投げ売りし、株価が暴落するのです。
また、多くの預金者が同時に預金の引き出しに殺到するので、健全な銀行であっても預金の返還に応じられずに破綻します。
このメカニズムを作動させるトリガーを、新型コロナウイルスが引いた可能性があるのです。過去の例で見ても、資産バブルの崩壊に端を発する不況は、長期化する傾向にあります。
最悪を想定すべきは経済
金融危機がどこで勃発するのかについてまで正確に予測することは難しいが、金融のグローバル化が進んでいるので、どの国で勃発しようが、それは世界全体へと波及します。
目下、特に懸念されるのは、昨年からジャネット・イエレン前FRB議長 や国際決済銀行 も警鐘を鳴らす、CLO市場の急拡大です。
CLO(ローン担保証券)とは、レバローン(信用度の低い企業に対するローン)を裏付け資産とする証券化商品であり、その市場がリーマンショック前夜と同水準にまで拡大していました。そのCLO市場の崩壊が経済危機を増幅するリスクが高まっているのだ。
また、ユーロ加盟国の場合、政府債務はユーロ建てであって自国通貨建てではないから、民間債務と同様、政府債務もデフォルトのリスクを抱えています。しかも、イタリアなど財政に問題がある国ほど、医療体制が脆弱であるため、感染拡大が深刻になり、経済への打撃も大きくなるので、財政破綻のリスクがより高いです。
そして、日本の金融機関も、長期に及ぶ超低金利のため、収益が悪化し、レバローンを買い進めたため、脆弱性が高まっています。
日本銀行「金融システムレポート」(2019年10月)によると、銀行の資金利益(資金運用で得た利益-資金調達費用)は、リーマン・ショック後を下回っているのです。
また、邦銀によるレバローンの引受額が、2013年以降、急増し、米欧の金融機関をはるかに上回っているということである(「週刊東洋経済」2020年3月21日号)。CLO投資についても、特に農林中央金庫とゆうちょ銀行が急増させていました。
感染症対策やリスク・マネジメントの専門家たちは、しばしば「最悪を想定せよ」と説いています。しかし、経済に関しては、政府は、最悪を想定しているのであろうか?
就活生も今後の為に経済について知識を入れておくだけで行動や選択が変わってくると思います。
決して良い方向に今後、日本経済は向かわないと思うので共に頑張りたいです。
本日も読んでいただきありがとうございました。